ジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984年」は、ロイター通信の記事「Most Britons have lied about the books they read」によると、イギリス人の読んだふりランキング1位となっています。
つまり、読んだふりをしたくなるくらい有名で価値ある作品でありながら、最後まで読むには難しい小説と言えます。
難しい小説を読むためには、人物相関図が役に立ちます。
なぜなら、人物相関図を使うことで、作品の構造をひと目で理解することができるからです。
この記事では、難解な小説「1984年」の登場人物を人物相関図にして、解説しています。
人物相関図の中心には、主人公ウィンストン・スミスを置いています。
そして、ウィンストンが所属する真理省の人物が周囲に位置してます。
物語の舞台であるオセアニアの指導者ビッグ・ブラザーや人民の敵であるエマニュエル・ゴールドスタインは、象徴的な人物として上部に配置しています。
なお、この記事の「まとめ」に、ネタバレを含む人物相関図を掲載しています。
まだ読了していない方は、画面スクロールにご注意ください。
39歳で、キャサリンという別居中の妻がいる。
小柄で華奢な身体つき。
髪はまばゆいブロンドで、生まれつき血色のいい顔色。
右足首の上に静脈瘤性の潰瘍ができている。
真理省記録局に勤め、新聞や歴史記録を書き変える仕事をしている。
ヴィクトリー・マンションの7階に住む。
家では、「ヴィクトリー・ジン」という酒を飲み、「ヴィクトリー・シガレット」という煙草を吸う。
党からは「6079号」と呼ばれる。
党の権力や革命前の過去に興味を持ち、犯罪行為と自覚しつつ密かに日記をつけている。
嫌いなものはネズミ。
「この世で何が嫌いって・・・ネズミなんだ!」
ジョージ・オーウェル「1984年」
目鼻立ちのくっきりした娘で、26歳。
豊かな髪は黒く、顔にそばかすが浮かび、運動選手さながらの機敏な身のこなし。
虚構局で働いている。
反セックス青年同盟の象徴である細い深紅の飾り帯が作業服の上に幾重にも巻かれている。
30人の女と寄宿寮で暮らしている。
8歳の時に祖父が姿を消す。
学校ではホッケーチームのキャプテンを務めていた。
スパイ団班長、青年団の支部幹部を経て、反セックス同盟に加わる。
初体験は16歳の時で、相手は60歳の党員。
表面的には熱心な党員を装っているが、自分のライフスタイルを守り、反抗的な行為を楽しんでいる。
大柄で逞しい身体をしており、首は太く、顔には半ばおどけたような残忍な表情が浮かんでいる。
鼻の上で終始めがねの位置を直すという癖があり、この癖は妙に相手に好感を抱かせるものだった。妙に洗練されている。
真理省で働く。
党中枢委員の黒い制服を着ている。
ウィンストンがオブライエンを見かけたのは10年で10回くらい。
ウィンストンの夢の中で「きっと闇の存在しないところで会うことになるだろう」と言った。
エレベーターのある巨大な集合住宅に住み、召使いがいる。家にはワインや高級たばこもある。
住居内のテレスクリーンのスイッチを切る特権を持つ。
ブラザー同盟の一員であると偽ってウィンストンに近づく。
35歳。全体の印象は男の子がそのまま大人になったような感じ。
妻と2人の子どもがいる。
ヴィクトリー・マンションに住んでおり、ウィンストンとは同じ階に住む隣人同士。
太り気味だが活動的な男で、まわりが唖然とするくらい愚鈍で、おめでたい感激屋。
頭は金髪、カエルのような顔をしている。
真理省の知性を必要としない下級ポストについている。
何一つ疑わず、辛気臭い仕事をひたすらこなす下っ端たちの一人。
スポーツ委員会、地域住民連携ハイキング、自然発生デモ、貯蓄キャンペーン、ボランティア活動一般を組織するその他もろもろの委員会では指導的立場にある。
パイプをふかしながら、静かなプライド思わせる口調で、儀礼上、地域住民センターにはこの4年間毎晩のように顔を出しているのさ、というのが口癖。
強烈な汗の匂いがついてまわった。
耳に濃い毛を生やした男。
記録局で、ウィンストンのいくつか離れた仕切り部屋にいる。
温和で実務能力を欠いた夢見がちな人物。
脚韻や韻律を魔術のように使いこなす驚くべき才能の持ち主。
ウィンストンの友人で調査局で働く。
歴史言語学者でニュースピークの研究者で、ニュースピーク辞典第11版の編集作業に従事している専門家の大チームの一員。
ひどく小柄で、ウィンストンより背が低く、髪は黒くて、大きく突き出た目には悲しみと嘲りの色が同居している。
知的な意味で毒を持った正統派。
ウィンストンは彼がそのうち蒸発させられると確信している。
記録局で働く、小柄で几帳面そうな浅黒い顎の男。
ウィンストンは彼のことをろくに知らない。
ウィンストンに敵意の視線を向ける。
古道具屋ウィークスの店主。
63歳になる男やもめで、この店で30年暮らしている。
身体つきは華奢で腰が曲がっている。
長い鼻は善意にあふれた人物であると感じさせ、温和な目はめがねのレンズが厚いため歪んで見える。
髪はほとんど白くなっていたが、眉毛は濃くてまだ黒々としている。
旧い時代に愛着を持ち、おぼろげながら知的な雰囲気が漂っている。
オブライエンの召使い。
黒い髪に小柄で黄色い顔。
無表情な顔は中国人を思わせる。
ウィンストンの妻。
党の標榜する性の厳格主義・純潔主義に忠実で、ウィンストンに子どもを産むためだけの義務的な性交を強要していた。
一緒にいたのは15か月ほどで、別居してから10年くらい経つ。
背の高い金髪、背筋をピンと伸ばし、所作に火の打ちどころがない。
くっきりとした造作に鷲鼻という気品があるといっていい顔立ち。
ウインストンの記憶や夢の中で登場する。名前は出てこない。
ウィンストンが10歳か11歳のときに姿を消す。
背が高く、彫像を思わせる均整の取れた身体つきの寡黙な女性で、挙措はゆったりとしていて、素晴らしい金髪の持ち主だった。
夢の中で、腕にとても小さいひ弱な赤ん坊の妹を抱いていた。
浅黒く痩せぎすで、いつもこぎれいな黒っぽい服を着込み、めがねをかけていた。
50年代に行われた第一次大粛清のひとつに飲み込まれたに違いない。
トム・パーソンズの妻。
30歳くらいだが、もっとずっと老けて見える。
顔に刻まれたしわには埃が溜まっているような印象を与える。
親を密告する機会を虎視眈々と狙っている自分の子ども達におびえている。
1960年代半ばの革命の最初の指導者の生き残り。
失脚し逮捕されるが、内通や公金横領、B・Bの指揮権転覆、破壊活動の扇動などの罪を告白し、解放される。
ウィンストンはこの頃の彼らを「栗の木カフェ」で目撃している。
その後、再逮捕され、裁判ですべての罪を告白するが、処刑される。
水兵たちにたばこなどの慰問品を供給する組織FFCCに所属し、党中枢の主要メンバーだったが、名誉を失い、すでに非在人間、つまり最初から存在しない人物とされた。
ウィンストンがウィザーズの代わりに創造した架空の人物。
党に忠誠を誓い、1日24時間たゆみなく党に奉仕する英雄で、23歳で戦死とされた。
2713号。
顎がなくて歯ばかり目立つ顔の男。
金髪のおめでたい顔をした若者。
ウィンストンとは知り合いとは言えない仲なのに、真理省の食堂で「スミス」と呼びかける。
オセアニアの独裁者で、革命の指導者及び守護者として党史の最初期から登場する。
45歳くらい、豊かな口髭をたくわえ、いかつい整った目鼻立ちをしている。
B・Bとも呼ばれる。
かつては党の指導者の一人でビック・ブラザーと並ぶ地位にあったが、その後、反革命運動に加わり、死刑を宣告されたものの脱出したまま姿をくらましている。
人民の敵。変節者、脱落者。
痩せたユダヤ人のような顔、けばだった光背を思わせる白髪、下顎に生えたヤギ鬚。
才気を感じさせる顔だが、どういうわけか生まれながらの卑しさがつきまとい、老齢からくる愚かしさの気配を漂わせた長くて細い鼻の先にめがねを載せている。
羊に似た顔、声もまた羊思わせた。
二分間憎悪の主要人物として登場する。
「ブラザー同盟」と呼ばれる反政府地下組織を指揮しているとされる。
この記事では、難解な小説「1984年」の登場人物を相関図を使って解説しました。
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