小説「アンナ・カレーニナ」は、ロシアの文豪トルストイの代表作で、文学小説として高い評価を受けている作品です。
小説の有名な書き出し「幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっている。」は、「アンナ・カレーニナの法則」として引用されくらい、教養として定着していると言っても過言ではありません。
文学小説としては比較的わかりやすいストーリーではありますが、途中で読むことを挫折してしまう方も少なくありません。
なぜなら、アンナ・カレーニナは登場人物が多く、ロシア人名が覚えづらいといった特徴があるからです。
そこで、挫折の主な要因である登場人物の情報を整理し、わかりやすくまとめましたので、迷ったときの道案内としてご利用ください。
なお、人物名やセリフは、もっとも一般的な木村浩訳の新潮文庫版をもとにしています。
理由1 登場人物が多すぎる
単純に登場人物が多いので、普通に読み進めると、頭の中だけではまず覚えられません。
登場する人名は150を超えます。
「覚えられなければメモしておけばいい」と考えがちですが、この人数になると名前を書き出すだけでも大変です。
物語の進行とともに次から次へと新しい名前が出てきますが、その多くは二度と出てきません。
が、中には間をあけて出てくる人物もいたりします。
メモを取るにしても、初めて読むときは人物の重要度が判断できないので、結構ストレスになります。
理由2 ロシア人名が覚えづらい
物語の冒頭に登場する「ステパン・アルカージッチ・オブロンスキー」を例にします。
まず、フルネームが長いです。
さらに、ロシア人名が覚えづらいのは、名前が長いからだけではありません。
なぜなら、日本人にはない父称や愛称があり、さらに性別による変化があるからです。
ロシアでは「ファーストネーム+父称+ファミリーネーム」が正式な人物名となります。
これが人間関係に応じて呼び方が変わります。
目上の人や親しくない人を呼ぶときは「ファーストネーム+父称」で、「ステパン・アルカージッチ」となります。
逆に、親しいときはファーストネームで呼ばれ、特に親しいときは愛称で呼ばれるようになり、彼の場合は「スチーヴァ」となります。
さらに父称やファミリーネームは、基本的に性別で語尾が変化します。(変化しないのもあります。)
例えば、スチーヴァとアンナは兄妹ですが、男性であるスチーヴァの父称はアルカージッチで、女性であるアンナの父称はアルカージエヴナです。
ちなみに、この兄妹の父親の名前は出てきませんが、父称から父親の名前はアルカージー(露: Аркадий、英: Arkady)であることがわかります。
また、女性であるアンナのファミリーネームはカレーニナで、夫のファミリーネームはカレーニンになります。
ロシア人名が複雑で覚えづらいのは、ロシア文学を読む上での宿命と言えます。
理由3 話が長いので人間関係が分かりづらい
小説は全8編で構成されていて、文庫本で1500ページを超える長編となっています。
私が初めて読んだときは、読み終わるまで1ヶ月以上かかりました。
読み始めてから時間が経つと、最初の方に出てきた人物のことはほぼ覚えていません。
加えて、登場人物の多さとロシア人名の覚えづらさのおかげで、読み進めているうちに、以前に登場した人物の人間関係がよく分からなくなります。
人物相関図で主要人物の関係をざっくり理解する
人物相関図は、小説を読む上でのナビのようなものです。
地図を見ずに冒険する方が好き、という方もいると思いますが、普通はナビを見て進んだ方が迷いません。
人物相関図を見ることで、誰が主要人物なのかがひと目でわかります。
また、誰と誰が兄弟で、誰が誰のことをどう思っているか、などの関係性もかんたんに理解することができます。
【アンナ・カレーニナ】ひと目でわかる人物相関図登場人物一覧でキャラ付けを理解する
アンナ・カレーニナを読んでいると、「あれ?この人物は前に出てきた気がするけど、どういう人だったっけ?」と感じることが多くあります。
登場シーンを見返そうとしても、ページ数が多いので、なかなか探すことができません。
そんな時にこの登場人物の一覧を見れば、どんなキャラだったかをかんたんに思い出すことができます。
【アンナ・カレーニナ】登場人物一覧と解説 【アンナ・カレーニナ】マイナーな人物の一覧と解説時系列で物語の流れを理解する
アンナ・カレーニナは物語の中でも結構時間が経過していきます。
時系列を確認するだけで、それまでの出来事を再確認できます。
時系列はある程度読み進めたときに、改めて現在地を確認したいときに役立ちます。
詳細記事は作成中。
名言や格言を楽しむ
アンナ・カレーニナには、名言や格言がたくさん出てきます。
まさに、人間社会の真理、人としての生き方や仲よい夫婦の秘訣となるような言葉です。
物語をとおして、この名言や格言を理解することで、実生活にも活かせる学びを得ることができます。
【アンナ・カレーニナ】トルストイが刻んだ名言や格言小説アンナ・カレーニナは、小説としておもしろいだけではありません。
トルストイによる人間心理の深い洞察は、時代を超えた普遍性を持っています。
娯楽としても、教養としても、時間をかけて読んでも損はありません。
この記事が、小説アンナ・カレーニナを最後まで挫折せずに読むためのお役に立てば幸いです。
読ませて頂きました。
村上春樹さんの小説に挑戦しては迷子になり挫折している者です。
あれだけ評価され、海外でも賞をとる様な作品なのできっと面白いのでしょう。
今のところ全くわかりません。。ですが評価するのも作品を理解してからにしたいんです。理解出来なかったというのは自分なりに悔しいので。ノルウェイの森の前編を読み終わりそうですが感想はありません。笑 読んでいるうちに周波数が合ってきて理解できる様になるのでしょうか。。
こちらのブログを読ませて頂いて、もう少し読み進めてみようかなという気になりましたのでコメントさせて頂きます。これで村上春樹ファンになればこのブログのおかげです。
いっせいさん、コメントありがとうございます。
「ノルウェイの森」は、村上春樹小説の中では知名度は高いですが、読みづらいと思います。
私も、村上春樹小説に慣れる前にチャレンジして、一度読むのをあきらめました。
ですので、村上春樹小説を読んだことのない人に「何がおすすめ?」と聞かれれば、まずは短編を紹介しています。
いずれにしても、このブログがいっせいさんの行動のきっかけになれば幸いです。