【カラマーゾフの兄弟】第1部各章の人物相関図とあらすじ

この記事では、ドストエフスキーの小説「カラマーゾフの兄弟」の第1部のあらすじを、章ごとに人物相関図を使って解説しています。

「カラマーゾフの兄弟」の登場人物の基本的な関係については、まずはこちらの記事をご覧ください。

【カラマーゾフの兄弟】人物相関図であらすじを理解する

目次

第1編 ある家族の物語

第1章「フョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフ」の人物相関図とあらすじ

この章では、悲劇的な死で知られる地主のフョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフの人物像を紹介している。

彼は2度結婚し、3人の息子をもうけた。

最初の妻アデライーダ・イワーノヴナは、裕福な貴族の家系に属する。二人の結婚は駆け落ちのようなものであったが、フョードルは異常な速さでその本性を現した。

アデライーダは、ドミートリーを出産すると貧乏な神学生と駆け落ちする。そして、フョードルは家にハーレムを作り、酒に溺れるようになった。アデライーダはペテルブルグで急死したが、彼女の死に対するフョードルの反応は複雑で、喜びと涙を抑えきれなかったという報告がある。

第2章「追い出された長男」の人物相関図とあらすじ

この章では、アデライーダとの結婚で生まれたドミートリーを捨てた父フョードルの行動が描かれている。

ドミートリーは、グリゴーリーという忠実な下男に面倒を見てもらう。その後、アデライーダの従兄弟であるピョートル・ミウーソフがパリから帰国し、ドミートリーの養育に関心を抱くようになる。彼はフョードルと共同でドミートリーの後見人となる。やがてドミートリーは、モスクワに住むミウーソフの従兄弟に引き取られることになる。

この章では、ピョートル・ミウーソフの人生についての背景も紹介されている。

第3章「再婚と二人の子どもたち」の人物相関図とあらすじ

フョードルソフィア・イワーノヴナと再婚したことを描いている。

結婚生活は8年続き、イワンとアレクセイの2人の息子が生まれる。ソフィアは、フョードルの放蕩のために結婚生活で大変苦しみ、ついには死んでしまう。息子たちはエフィム・ポレーノフに面倒を見てもらうことになる。

この章では、イワンとアレクセイの生い立ちや教育についての背景も紹介されている。

第4章「三男アリョーシャ」の人物相関図とあらすじ

この章では、フョードルの三男であるアリョーシャについて詳しく説明されている。

アリョーシャは、狂信者でも神秘主義者でもなく、むしろ早くから人間性を愛していた青年として描かれている。彼は長老ゾシマに愛着を持ち、修道院に入ることを決心する。

この章では、アリョーシャの家族や父フョードルとの関係、フョードルの性格や行動についても触れられている。

第5章「長老たち」の人物相関図とあらすじ

この章では、アリョーシャの外見、性格、信条について詳しく説明されている。

また、ロシアの修道院における長老制度や、アリョーシャに大きな影響を与える長老ゾシマについても書かれている。さらに、アリョーシャと2人の兄イワン、ドミートリー、そして父フョードルとの関係にも触れられている。

第2編 場違いな会合

第1章「修道院にやってきた」の人物相関図とあらすじ

この章では、修道院に訪問者がやってくる様子が描かれている。

ミウーソフとその親戚のピョートル・カルガーノフ、フョードルとイワンなどである。また、僧庵に住むゾシマ長老についても紹介されている。

訪問者らは僧庵を訪れた後、修道院長のもとで食事をするよう誘われる。トゥーラの地主マクシーモフが道案内をする。

フョードルが門の上と横に描かれた聖人たちに大げさに十字を切り、早速、無駄話をはじめる。

第2章「老いぼれ道化」の人物相関図とあらすじ

この章では、訪問者の一行とゾシマ長老、アリョーシャと神学生(ラキーチン)、パイーシー神父とヨシフ神父が一同に会する。

彼らは会話や議論を交わし、フョードルは道化役を演じ、集団に緊張感を与える。ゾシマ長老は事態の沈静化を図り、フョードルに助言を与える。さらに、ゾシマ長老は先約に会うため、アリョーシャと神学生(ラキーチン)とともに僧庵を出る。

最後に、フョードルは、ミウーソフに話をさせるために、自分はしゃべるのをやめると宣言する。

第3章「信仰心のあつい農婦たち」の人物相関図とあらすじ

この章では、ゾシマ長老に会うために、ホフラコーワ夫人やその娘など、大勢の農民の女性たちが集まっている場面が描かれている。

ゾシマ長老は女性たちを祝福し、語りかける。その中には「憑依」された女性もいたが、彼の手によって瞬時に癒される。また、遠くから来た女性にも話しかけ、息子を亡くしたことを慰める。さらに、農婦とその赤ん坊、そして集まった一同に祝福を与える。

第4章「信仰心の薄い貴婦人」の人物相関図とあらすじ

この章は、ゾシマ長老と、娘のリーズを治してくれたホフラコーワ夫人との会話が描かれている。

ホフラコーワ夫人は、人類への愛と人に尽くしたいという気持ちを表明する一方で、死後の世界に対する疑問や信仰のなさを吐露する。ゾシマ長老は彼女に、積極的に隣人を愛し、特に自分自身に対する偽りを避けるよう助言する。

また、幼い頃アリョーシャに抱っこされていたリーズは、恥ずかしがって二人を訪ねないアリョーシャをからかう。ゾシマ長老はそんなリーズを祝福し、アリョーシャを見舞いに行かせることを約束する。

第5章「アーメン、アーメン」の人物相関図とあらすじ

この章では、イワン、ゾシマ長老、ミウーソフなどが議論する様子が描かれている。

彼らは、教会と社会における教会の位置づけについて議論している。イワンは、教会は国家全体を包含すべきであり、単に国家の一角を占めるだけであってはならないと主張する。パイーシー神父はイワンの主張に同意し、ミウーソフはそれを奇妙だと憤る。

そんな中、ドミートリーの来訪により議論は中断される。

第6章「どうしてこんな男が生きているんだ!」の人物相関図とあらすじ

ドミートリーが遅れて僧庵に到着するところからはじまる。部屋の中では、宗教、道徳、家族関係などの話題で、緊迫した議論が繰り広げられている。

ドミートリーは、部屋にいる父フョードルと口論になる。口論はエスカレートし、ドミートリーは父フョードルについて「どうして、こんな男がなぜ生きているんだ!」とつぶやく。やがてゾシマ長老は席を立ち、ドミートリーの足元にひれ伏す。

第7章「出世志向の神学生」の人物相関図とあらすじ

この章は、アリョーシャがゾシマ長老を寝室に案内し、ベッドに座らせるところからはじまる。

ゾシマ長老は疲れ切っていて、アリョーシャに「修道院長の食事会で待っていなさい」と言う。アリョーシャはここに残ろうとするが、ゾシマ長老は、自分は他の場所で必要とされていると言い張る。ゾシマ神父は、アリョーシャに助言と祝福を与え、彼を送り出す。

修道院長の食事会に向かう途中、アリョーシャはラキーチンに出会う。ゾシマ長老の意図、カラマーゾフ家やグルーシェニカ、カテリーナとの関係などさまざまな話をする。

第8章「大醜態」の人物相関図とあらすじ

ミウーソフ、イワン、カルガーノフが修道院長の食堂を訪れる場面が描かれている。

ミウーソフはゾシマ長老の僧庵でのフョードルの行動を詫びる。そこに現れたフョードルがまたしても無礼な振る舞いをしたため、ミウーソフはその場を離れようとする。フョードルは道化と悪態を続け、食事会は大混乱となる。

第3編 女好きな男ども

第1章「下男小屋で」の人物相関図とあらすじ

この章は、フョードルの屋敷とその住人について描かれている。

屋敷には、フョードルと息子のイワンが住み、グリゴーリーとその妻マルファ、スメルジャコフの3人の使用人が敷地内の離れに住んでいる。

グリゴリーは正直で、頑固で、敬虔な人である。妻マルファを尊敬しているが、あまり話をしない。主人であるフョードルに強い影響力を持ち、時には主人をトラブルから守ることもある。

グリゴリーとマルファには子供が一人いたが、死んでしまった。その子は指が6本あり、グリゴリーはそれを竜と思い、自然の混乱と思った。

子供の死後、グリゴリーは宗教的になり、「聖者の生活」などを読むようになった。また、リザヴェータという女が風呂場で子供を産み、死んでしまうという不思議な出来事も目撃した。

第2章「リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ」の人物相関図とあらすじ

この章は、孤児で町で神がかりと呼ばれたリザヴェータについて描かれている。

リザヴェータは小柄な女で、肌着一枚で町をさまよい、地べたで眠り、施された一切合切を手放すありさまだった。父親には虐待された。町の人たちはリザヴェータに親切で同情的であった。彼女がお腹を大きくしたとき、町の人は父親がフョードルであることを疑ったが、彼は否定した。やがて、リザヴェータはフョードルの家の風呂場で出産し、死んでいまう。

その子供は、フョードルの父姓と母親のあだ名からパーヴェル・フョードロビチ・スメルジャコフと名づけられた。彼は、フョードルの使用人であったグリゴーリーとマルファのもとで育てられた。彼は料理人となり、彼らと一緒に離れで暮らした。

第3章「熱い心の告白―詩」の人物相関図とあらすじ

この章では、カテリーナに会うこと恐れているアリョーシャが兄ドミートリーに出会う場面が描かれている。

ドミートリーはアリョーシャに、シラーの『歓喜の歌』を引用し、自らの境遇について考え、語る。

第4章「熱い心の告白―一口話の形で」の人物相関図とあらすじ

この章では、ドミートリーがアリョーシャに彼の過去について語ります。

ドミートリーは、彼が若い頃に過ごした野蛮な生活や女性たちとの関係、そしてカテリーナとの出会いについて語ります。ドミートリーは、彼がカテリーナに対して感じた憎しみと愛情の間で揺れ動いていることを明かす。

ドミートリーは自分が悪党で虫けらであったこと、しかし正直で情熱的であったことを認める。剣で自殺する寸前までいったが、それを控えた。カテリーナとの関係を知っているのは、もう一人の異母兄であるイワンだけだと言う。喜びと自責の念を吐露する。

第5章「熱い心の告白―「まっさかさま」」の人物相関図とあらすじ

ドミートリーはカテリーナと婚約している。彼はカテリーナから預かった3千ルーブルで、官能的で狡猾なグルーシェニカと乱痴気騒ぎをする。彼は婚約を破棄してグルーシェニカと結婚したいが、自分の行為に罪悪感と恥ずかしさも感じている。

ドミートリーはアリョーシャに、父フョードルのところに行って、カテリーナの返済のために3千ルーブルを要求するよう頼む。さらに、カテリーナのところに行くようにと頼む。

第6章「スメルジャコフ」の人物相関図とあらすじ

この章では、グリゴーリーとマルファに育てられたが、感謝の念を持たずに育ったスメルジャコフについて書かれている。

彼は非社交的で、すべての人を軽蔑しているように見えた。彼はてんかんを患い、モスクワに送られ、料理人としての訓練を受けることになる。帰国すると、外見は見違えるように変わり、老けてしわくちゃになっていた。一流の料理人になり、身だしなみにも気を配るようになったが、無愛想なままで、交友関係には全く興味を示さなかった。フョードルは、彼の誠実さに絶対の自信を持ち、不機嫌そうな態度にもかかわらず好感を抱いていた。

第7章「論争」の人物相関図とあらすじ

この章は、ある話題から論争に発展する。

その論争とは、グリゴリーが店主から聞いた、アジアで捕虜になったロシア兵の話で、「キリスト教を捨ててイスラム教に改宗しなければ殺す」と脅されたことに端を発する。その兵士は自分の信仰を否定することを拒否し、キリストを賛美しながら死んでいった。

上機嫌のフョードルは、「この兵士を聖人にして、その皮を修道院に持っていけば、人が集まり、賽銭が入る」と冗談を言った。ドアの脇に立っていたスメルジャコフは、「兵士の功績がそれほど大きいのなら、キリストを捨てて命を救うことに罪はないだろう」と微笑んだ。フョードルは、そんなことを言ったらスメルジャコフは地獄に直行すると言ったところでアリョーシャが部屋に入る。やがてイワンも加わり、信仰に関する議論が展開されていく。

第8章「コニャックを飲みながら」の人物相関図とあらすじ

この章では、酔っぱらったフョードルが、グリゴーリーとスメルジャコフを部屋から追い出し、イワン、アリョーシャと宗教、哲学、女性などさまざまな話題で語り始める。フョードルはますます酔いが回り、行動が不規則になる。

やがて、ドミートリーが部屋に飛び込んできて、フョードルはイワンのコートにしがみつく。

第9章「女好きな男ども」の人物相関図とあらすじ

この章は、ドミートリーがフョードルの屋敷に入ってくるところから始める。

ドミートリーはカテリーナを探そうとし、止めにはいったグリゴーリーを殴り、フョードルを蹴り上げる。イワンとアリョーシャが仲裁し、ドミートリーは部屋を出て行く。

イワンは「毒蛇と毒蛇が食い合う」と評し、フョードルはドミートリーよりイワンの方が恐いと口にする。

第10章「二人の女」の人物相関図とあらすじ

フョードルの家を出たアリョーシャは、精神的に疲れ果てる。彼は、父フョードルと兄ドミートリーがグルーシェニカをめぐってどのような結末を迎えるかという問題に直面する。

アリョーシャはカテリーナの家を訪ねると、彼女は彼を温かく迎えてくれた。そこにグルーシェニカが加わり、はじめは和やかに会話が進むが、やがてグルーシェニカの態度にカテリーナは激怒し、グルーシェンカのことを淫売と侮辱する。

アリョーシャは帰り際に、小間使いからリーズの手紙を受け取る。

第11章「もうひとつ、地に落ちた評判」の人物相関図とあらすじ

アリョーシャは町から修道院まで帰っていく。その途中でドミートリーに出会う。

アリョーシャはドミートリーに、カテリーナの家を訪れたこと、そこにグルーシェニカが居合わせたことを話す。事情を聞いたドミートリーは、自分は卑怯者であるが、破廉恥までには行きついていないことを語る。

アリョーシャは修道院に向かい、ゾシマ長老の病状が悪化していることを知らされる。寝床に入る前に、リーズからの愛を告白する手紙を読む。

まとめ

この記事では、「カラマーゾフの兄弟」の第1部のあらすじを、章ごとに人物相関図を使って解説しました。

この続きの第2部の記事はこちら。

【カラマーゾフの兄弟】第2部各章の人物相関図とあらすじ

「カラマーゾフの兄弟」の登場人物の基本的な関係については、まずはこちらの記事をご覧ください。

【カラマーゾフの兄弟】人物相関図であらすじを理解する

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